5/14(日)

読書。有栖川有栖氏の「スイス時計の謎 」。いつもの短編&中編の構成。

「あるYの悲劇」。ダイイングメッセージもの。ダイイングメッセージの内容がちょっとこじつけ感はなくも無いが、まあ許容範囲か。

「女彫刻家の首」。犯人は割と早い段階でわかるが、そのアリバイをどう崩すかがメイン。犯行の理由なども個人的には大分納得がいくもので良かった。

シャイロックの密室」。犯人は最初からわかっており、密室の解決がメイン。ある程度科学的な知識が無いと解けない気がするが、展開そのものは大変良かった。ちょっと犯人が迂闊すぎな気もするが。

「スイス時計の謎」。表題作。何故時計が無くなったかがメイン、というちょっと変わった展開だった。その時計がキーになって最後犯人を推理する展開は良かった。しかしこの作品のメインは有栖川有栖の青春時代の思いと、その時の思い人の今を知るところだと思う。有栖川有栖の心理描写が大変丁寧で、これをがメインでやりたかったのではという印象だった。どっちが殺人事件、青春の思い出、どっちが本筋かはちょっと難しい感じだったが、どっちにしろ良かった。これは大分お気に入り。こういうのが読みたいんだよなあ。